ネット証券 手数料がいっぱい得られる
インターネットを悪用する不正な証券取引は、単なる可能性ではなく、実際にしばしば摘発されています。
世界で最も早くからインターネットの利用が普及し、オンライントレードが大きな広がりをみせているアメリカで摘発されたいくつかの例を紹介しましょう。
これらの例は、九七年十一月にSECが議会へ提出しか報告書に記述されているものです。
その後も、多くの不正取引が摘発されていますが、だいたいは同工異曲といってよいでしなお、SECは、この報告書の中で、インターネットを利用した不正取引の形態を詐欺的な証券の募集、相場操縦的取引、投資顧開業法上の開示義務違反、の三つに類型化しています。
摘発された最初の不正取引SECが摘発したインターネットを利用した不正取引の最初の事例とされています。
摘発されたP社の経営者とパートナー達は、インターネットと電話を利用して証券を販売し、二万人の投資家から三百万ドルを集めました。
問題の証券は、国際的な宝くじの抽選に参加する権利23を示すものとされていました。
SECは、P社が、国際的な宝くじを実施するには法律や規制上の様々な障壁があることを知りながら、投資家への適切な開示を怠ったとして、証券発行を禁止する差止命令の発給を裁判所に申請し認められました。
不十分な情報開示被告は、商用ネットワークAOLを通じてインターネット上のニュースグループに投稿し、鰻の養殖事業のための資金調達と称して債券の募集を行ったとされました。
投稿内容によれば、この債券は年利回りが二〇%に達するゼロクーポン債でした。
SECは、被告がこの債券の元本が保証されているという虚偽の情報を掲載したうえ、鰻の養殖事業が実際にはまだ開始されていないことや、被告白身、養殖事業の経験がまったくないことなど、投資判断に影響を与える重要な事実を開示しなかったとして、差止命令の発給を裁判所に申請しました。
被告は、自発的に差し止めに応じ、証券の発行を取りやめました。
相場操縦のケースこの事件は、システムズーオブーエクセレンスするものです。
被告は、SOE社の会長兼CEO(SOE)社の株式にかかわる相場操縦に関(最高経営責任者)であり、インターネット上で同社に関する一万件以上にのぼる虚偽の情報を流布し、株価をつり上げたうえで自分の持株を売却し、一千万ドルもの不当な利益を得たとされました。
この事件に関連しては、インターネット上でリサーチ情報誌を発行している業者が、SOE社から資金を受け取って、根拠のない推奨記事を掲載したことも指摘されています。
被告は、その後の刑事訴訟において、証券詐欺およびロングリングの容疑を認め、懲役四十六ヵ月、罰金一万ドルの刑を科されました。
被告は、インターネット上で、いわゆる耳より情報を掲載する各種のニュしスレターを刊行していました。
SECは、被告が株式を公開している企業六社に関する虚偽、もしくは誤解を招く情報を掲載したうえ、ニュースレターに推奨記事を掲載する対価として、多数の会社から現金や株式を受け取っていたとして、差止命令の発給を申請しました。
SECによれば、こうした金銭や株式を受け取りながらその事実を開示しなかったことは、投資顧開業法上の情報開示義務違反にあたります。
被告は、自発的な差し止めと不当利得の返還、民事制裁金の支払い25に応じました。
わが国では、今までのところ、インターネットを利用した証券取引にかかわる不正行為が摘発されたという例はほとんどありません。
しかし、オンライントレードの利用者が増加するとともに、インターネット上でやり取りされる証券取引に関する情報の量も増えています。
インターネットの特徴は、誰もが情報の受信者であるとともに発信者にもなれるという双方向性にありますから、投資情報専門の掲示板やニュースグループで一般の投資家同士が意見を交わす機会も多くなっています。
半面、インターネット上では、姓名や身分を明かす必要はありませんし、仮にそうした情報が記載されていたとしても、それが真実であるという保証はありません。
同じ人が複数の名前を使って情報を掲載したり、一般投資家を装って風説の流布や相場操縦を試みる詐欺師がいないとも限りません。
事実、最近では、一部の電子掲示板で公開会社に関するインサイダー情報とおぼしき投稿がみられたと指摘する新聞記事が現れ、そうした指摘に対して電子掲示板の主催者が掲示板上で逆に新聞批判を展開するといった事態も生じています。
このケースでは、記事を執筆した記者に対する個人攻撃的な色彩も伴い、インターネット上のコミュニケーションの難しさを改めて印象づけました。
二〇〇〇年三月には、証券取引等監視委員会(日本版SEC)が、IOSCOでの申し合わせにもとづいて、「インターネットーサーフーデイ」を実施し、高利回りを約束して金融商品を販売していた詐欺的なサイトや風説の流布、インサイダーによる情報提供が疑われる電子掲示板の投稿などを発見しています。
投資家の側では、インターネット上にはこうした危険もあることを認識し、正しい情報とそうでないものを区別しながら、証券取引にインターネットを活用していくという姿勢が求められるのです。
インターネット上の情報は、世界中どこからでも見ることができます。
したがって、例えばアメリカの証券会社が行っているオンライントレードの画面を、わが国の国内で見ることは十分に可能です。
実際に、わが国の投資家がアメリカなど海外の証券会社のオンライントレードーサービスを利用して株式を売買するという動きが静かに広がっているようです。
アメリカのナスダック市場でティートレーディングを行うわが国の投資家もいるということは、すでに触れた通りです。
かつては、外国為替管理法の規制により、日本国内に居住する一般の個人が、海外の銀行に資金決済を行える預金口座を開設したり、海外の証券会社と取引したりするためには、大蔵省の許可を得る必要がありました。
もっとも、許可を申請するのにもきちんとした理由が必要となるわけですから、こうした取引は、事実上不可能だったといってよいでしょう。
海外駐在などで現地の証券会社と取引していたという場合でも、帰国時には口座を閉鎖するのが一般的でした。
ところが、九八年四月から、「ビッグバンのフロントランナー」ともいわれた改正外為法が施行され、海外の銀行や証券会社との直接取引が、大幅に自由化されたのです。
折から低迷していた国内の株式市場とは対照的に、アメリカの株式市場は連日市場最高値を更新するといった好調ぶりをみせており、オンライン証券会社による価格破壊の進展とも相まって、一部の個人投資家は、アメリカの証券会社が提供するオンライントレードに強い関心を示しました。
個人向けの了不1雑誌で、実際の投資体験を詳細に紹介した「インターネットでニューヨーク株が買える」といった特集が組まれる一方、口座開設の手続きから投資分析の手法までを網羅した、インターネットを利用するアメリカ株投資の指南書すら出版されるなど、情報も豊富になってきているのです。
何しろ、インターネット上では、アメリカの証券会社もわが国の証券会社も、ホームページが英語で書かれているか日本語で書かれているかくらいの違いしかないのです。
国際電話で直接担当者と英語で話したり、面倒な手紙を書いたりする必要がないことも、海外のオンライントレードーサービスヘのアクセスを容易にしているといえるでしょう。
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